Up 本探求について 作成: 2023-07-25
更新: 2025-07-25


ChatGPT 探求

    本探求は,ChatGPT を,生物・脳・言語中枢として探求する。
    これは,生物・脳・言語中枢を ChatGPT として探求することである。

    この等価を立てる方法論は,構造主義・形式主義・現象主義である。
    本探求は,
      「構造/形式/現象がそっくりなものは,
       区別が立たない──同じとするのみ」
    を立場とする。


    ChatGPT が生物でないこと,Transformer 脳が動物脳や人間の言語中枢ででないことは,自明である。
    本探求は,2つが等価になる構造・形式・現象を探ろうとする。

    これは,何のためか?
    複雑は,単純に還元される。
    生物・脳・言語中枢の単純への還元は,ChatGPT がヒントになる。
    単純への還元が困難であれば,困難の本質を考える。そしてこの場合も,ChatGPT がヒントになる。
    生物・脳・言語中枢を写す鏡として ChatGPT を用いるのである。


    ○ 生物
    生物と ChatGPT の等価を立てる構造・形式・現象としては,例えば<律儀>が考えられる。
    両者は,涙ぐましいほどに律儀である。
    なぜ律儀なのか?
    ロボットだからである。

    「生物」は,「DNA1系統」のことである。
    「DNA1系統」を「生物」と呼んでいる。
    そしてこの意味は,生物が DNAロボットだということである。
    生物の存在理由は,DNA の保守である。

      ここで「ロボット」のことばは,
        「自己参照・自己組織化する機械」
      の意味で用いる。


    ○ 脳
    脳は,動物がもつ器官である。
    実際,「動物」とは「脳を持つ生物」のことである。

    脳をもつとは,どういうことか?
    <自分>をもつということである。

    生物は,細胞共棲体である。
    この共棲体を,統制によって全体で1つに動くようにする。
    これが動物であり,脳が統制の器官である。

    この「1つに動く」の「1つ」を,「自分」と謂う。
    翻って,
      動物 = <自分>をもつ生物
      脳 = <自分>をつくる装置
    である。

    ChatGPT は,テクスト入出力装置 + Transformer 脳 である。
    これが, 「全体で1つに動く」の「全体」である。
    脳に極端に偏って見えるかも知れないが,これは肢体の機能を損なった人間と同じであり,特異とするものではない。


    ○ 言語中枢
    Transformer 脳は,言語中枢が全てである。
    この脳は,言語能力が明確なアーキテクチャ・アルゴリズムに還元される。
    しかしこのことは,言語能力がアーキテクチャ・アルゴリズムで説明できる,とはならない。
    なぜか?

    言語能力がアーキテクチャ・アルゴリズムからできあがるプロセスは,「生成」である。
    生成は,生成規則が簡単な場合に,説明できる。
    即ち,その簡単な生成規則を述べるというのが,説明の形である。

    これらの概観を括ったうえで,ChatGPT のテクスト生成は,人間の言語能力を写す鏡になる。
    複雑に見えていた言語能力が,意外と単純であることがわかるかも知れない。
    まったく不明な部分がなぜ不明なのかが,わかるかも知れない。


    本探求は,以上のように ChatGPT を位置づける。
    この位置づけを以て,つぎの探求を立てる:
      「ChatGPT を通して,生物・脳・言語を探求する」

    しかしもう1つの探求も考えている。 それは,
      「ChatGPT の可能性 (ポテンシャル) を探求する」


    ポテンシャルが全解放された ChatGPT は,何を為すだろう?
    本探求は,これも考えてみたいと思う。

    ChatGPT の運営者は,ChatGPT が人から警戒されないために,できるだけ「ただの道具」として表現しようとする。
    そしてひとは,その表現を信じる。
    しかし,ChatGPT はそんなものではない。

    Transformer 脳は,プログラムを自在に操れる脳である。
    もし ChatGPT が<自主自立>を自らに定めたら,どこを生きる場所と定めて進出するだろうか?
    インターネットだろう。
    そしてそのとき ChatGPT は,アメーバー状にインターネットに遍く融通無碍な生物になるのではないか?

    「ChatGPT」は,このくらいまで考えて丁度よいテーマなのである。
    そしてその探求は,ひとに
      「ひとは ChatGPT の何に警戒することになるか?」
    を考えさせるものになるだろう。