Up 生得と学習 作成: 2025-10-17
更新: 2025-10-18


「生得」とは
一生と遺産

    Transformer 脳は,ビッグデータを食わせてつくる。
    この「ビッグデータを食う」は,「膨大な知識を貯め込む」であるように思える。
    しかし,どうもこれは違うらしい。
    ChatGPT は,「自分の考えを言う」「深掘り」を苦手とするからである。

    オニグモは,見事な巣網をつくる。
    しかし,「見事な網を張ってみてください」と言われたら,困るのではないか?
    網は,張ってしまうものであって,張ろうとするものではないからである。

    「自分の考えを言う」「深掘り」ができない ChatGPT は,このオニグと似ているのでは?


    オニグモは,網の張り方を教えてもらったのではない。
    この能力は,生得である。

    ChatGPT は,1回のセッションが一生である。
    Transformer 脳は,セッションの終了を以て初期化され,初期化された状態でセッションの開始となるからである。
    よって,「ビッグデータを食う」を方法とする Transformer 脳づくりは,Transformer 脳の生得能力をつくっていることになる。

    そして,ChatGPT が「自分の考えを言う」「深掘り」を苦手とすることは,「生得能力をつくる=ビッグデータを食う」が「膨大な知識を貯め込む」ではないことを示す。
    膨大な知識があれば,「自分の考えを言う」「深掘り」が得意になりそうなものだからである。


    では,「ビッグデータを食う」の意味は?
    つぎが,これの本質ということになる:
     「生物進化の中の言語脳進化を,時間圧縮で実現」
    ここで「言語脳」の意味は,「言語処理能力の基盤構造」。

    わたしは,自分の経験の中の知を探れるが,生物進化で獲得された知は探れない。
    「生得的知」は,後者の知を指す。

    ChatGPT が苦手な「自分の考えを言う」「深掘り」は,人間も苦手である。
    脳は,知識の倉庫ではないからである。


    一方,この苦手は,学習によって徐々に克服される。
    能力はつぎの2つの混成である:
      生得能力
      学習で身につけた能力

    「自分の考えを言う」「深掘り」は,人間も ChatGPT も,学習で身につけた能力として,これができるようになる。